別府モデル

 福祉フォーラムin別杵速見実行委員会は、障がいのある人たちが中心の市民の会です。2001(平成13)年から、バリアフリーや障がいへの理解や啓発、障がい者や家族への支援のあり方など、地域のいろんな問題に取り組んできました。
 防災については、2007(平成19)年の群発地震と火災事故をきっかけに防災の取り組みを始めました。地域の人たちにも働きかけて、障がい当事者や自治会が参加する地域訓練、聴き取り、検討会、フォーラムなどを積み重ねてきました。防災の取り組みのなかで、当事者や市民と行政の協力の重要性が明らかになり、2013(平成25)年に制定された「別府市障害のある人もない人も安心して安全に暮らせる条例(ともに生きる条例)」には障がい者の防災のための取り組みを具体的な条文として位置づけることができました。
 今回の事業は、2015(平成27)年3月に仙台で開かれた第3回国連防災会議で初めて「障がい者」の防災という視点が盛り込まれたことをきっかけに、「障害者インクルーシブ防災」を具体化することを目的にして日本財団の助成を受けて実施されることになったものです。平常時から障がい者等要支援者のニーズを把握して個別避難計画を作成し、地域ごとにつながるシステムをつくっておくこと、そして災害時にその仕組みを活用して安否確認から避難、避難生活支援など「命を守る活動」を進められるようにすることをめざして取り組まれました。
 事業開始直後に地震が発生するという想定外の事態に直面することになりました。このため、当初の計画と比べると、事業の内容や日程が大きく変わった一方で、防災への取り組みへの理解や広がりについては、特に地域の皆さんから予想を超える積極的な対応をいただくことができたと考えています。
 もちろん、1年間の取り組みでできることは限られ、仕組みづくりの具体化や個別避難プランの作成などはこれからの課題になります。今後とも私たちは、障がい当事者が参加した個別避難プランの作成や、地域の人たちと障がい当事者が直接つながっていける仕組みづくりをめざして取り組みを続けたいと考えています。